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介護の森で見つけた光A 『介護記録と司馬文学』 

中川 春彦
 「介護の森で見つけた光」第2弾は、「介護記録」についてです。

介護記録に関する研修は最近たくさん企画されていますが、どれも大変な盛況ぶりだそうです。大型書店に行けば、介護記録に関する書籍もずいぶんと増えました。

私が介護関連の本を探そうと書店に向かった初めの頃、10年ほど前になりますが、その頃からすると、考えられないくらい介護関連の書籍は増えました。記録に関する本も、昔からあるにはありましたが、ここ数年で一気に増えた感があります。

ラヴィータにおいても、「記録は大切」ということは何度となく話が出、問題点を出し合い、その都度少しずつ修正・改善されてはきました。ですが、具体的にどのように記録を書くのが正しいのか、というようなマニュアル的なものはいまだに作成されていません。

そもそも、記録全般に関して(様々なケースを想定して)マニュアルを作成するのは、膨大な時間がかかる上、出来上がったものを全スタッフが徹底して行えるようになるには、さらに膨大な訓練と時間がかかってしまう、ということで、その都度問題になるような表現を拾い上げては問題提起し、少しずつレベルアップを図ればいいじゃないか、という意見が大半で、マニュアル化しようとする動きそのものがありませんでした。

私もその意見に賛成だったし、私自身記録の難しさを日々感じているので、もっと勉強したいなと考えている段階ですが、それでも、「(いい意味で)この記録の書き方はラヴィータらしいな」というものを構築していきたい、という思いはあります。

今回はその足がかりになるような小さな光を見つけることができたので、その話をさせて頂こうと思います。

去る平成24年7月某日から2ヶ月余りに渡って、「認知症介護実践者研修」に参加してきました。研修最終日には、受講者66名全員が、(研修で学んだ内容をもとに自施設で何らかの取り組みを行い)自施設での実践の内容をまとめて10分間の発表を行うことになっていました。

私は、Iさんという方を実践の対象に選びました。

Iさんを対象にした理由は、大きく3つ。

入居して2年が経つのですが、なぜここで生活しているのかが分からず、お父さんやお母さんのいる長崎の家に帰りたいという思いがずっとあること。(Iさんは84歳でお父さんもお母さんも亡くなっています。ちなみにIさんは長崎県雲仙生まれ。)

2つめは、研修に行き始める少し前に、食堂の席替えをしたのですが、(それは別の方の人間関係が原因だったのですが)、それを「私が何か悪いことしましたか?」と自分に原因があるかのように受け止めてしまい、食堂に出て行きたくないという思いから、朝起きないことが極端に増えた、ということ。

そして3つめは、ほとんど昼まで寝ている(朝起きても食事を摂らない)ことで、食事・水分の摂取量が急激に減ってしまっている、ということ。

現状を何とか改善できないか、ということで、取り組みを始めました。

取り組んだのは、次の3つ。

@     アセスメントとケアプラン

 センター方式のアセスメントシートの中から、(私の生活史シート)(私の姿と気持ちシート)(24時間生活変化シート)をチームで記入する。

A     認知症高齢者へのハードにおける影響

B     家族理解とネットワーク

1ヶ月間という短い期間ではありましたが、スタッフ全員を巻き込み、取り組む中で、充分とはとても言えませんが、一定の成果は出すことができたように思います。

Iさんがどんな人生を歩んできたのかを本人と娘さんから聞き取りを行ってスタッフ間で情報を共有し、Iさんの気持ちになって今置かれている状況を考え、24時間の生活とその時々の気分の変化を知ろうとする。

「生活感が出てくる」ような、また「本人がほっとするような」居室のしつらえを考える。

娘さんと問題意識を一つにし、協力を得ながら、関係を途切れさせないようにする。また、施設内だけで関係を完結させず、社会とのつながりを持てるようにする。

これほど一人の入居者に集中して関わる、ということが今までなかったので、学ぶところは多くありました。たくさんの学びの中で、今回私が一番考えさせられたのが、テーマにも掲げた「介護記録」でした。

取り組みの一環として、Iさんの入居してからの2年間分の介護記録を読み返してみたのですが、Iさんの担当スタッフTの記録を読んでいて、私は感動を覚えました。

一部をそのまま掲載してみます。




H22.07.15入所されて1週間が過ぎました。スタッフや入居者さんにも慣れてこられています。足や腰が痛いとの訴えが有りロキソニンを服用される事も多々有ります。排泄時にはスタッフにぶら下がったりして立つ事をされない状態の時も有ります。Iさんは「口は達者やけど、足腰がアカン・・」と言われています。今は居室に戻り横になられている事が多いですが、少しずつ起きてもらえる時間を長くしていきたいと思います。

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H22.09.28朝から「田舎に帰りたい・・」とポツリと言われ淋しそうにされていました。昼からのリハレク(リハビリ・レクリエーション)に誘うと「連れて行ってくれはるの〜ホンマ・・!」と声が少し弾んだように聞こえました。約束通り淀川に散歩に行くと「気持ち良いわ〜有難う〜!」と何度も言われ本当に嬉しそうでした。これからも機会を見つけて外に連れて行ってあげたいです。

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H22.10.27誕生日のプレゼントを「こんなん貰われへんわ・・誰がくれたん・・返すわ・・」としきりに言われていました。みんなの気持ちやからと伝えましたが、「貰われへんわ・・」とず−っと言われ困りました。夕方には納得されたのか肩に掛けてくれていました。もっと喜んでいただけると思っていたので、少しガッカリしました。

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H22.11.30昼から歌を唄うという事で、各階から有志が来ました。昔の古い歌は皆知っていて楽しく大きな声で唄われていました。その中でも一番大きな声がIさんでした。会長がYさん(別の入居者さん)、副会長がIさんと職員のTということに成りました。笑ったり大きな声で唄ったり楽しんでくれていました。いつまでも大きな声で元気の良いIさんで居てもらいたいです。

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H22.12.14昼からのリハレクに一緒に行こうと誘いましたが「ここから動きたく無い!」と断られました。少しでもストレス解消に成ればと思い誘いましたが・・。外出も余り行きたがらない、もっと外の空気を吸って楽しい生活を送ってもらいたいと思っています。これからは外へ行く機会を増やしていきたいと思います。

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H22.12.21今日はクリスマス会で、楽しく参加されました。スタッフの踊りには大声で笑いスタッフのお尻を叩いたりして満面の笑顔でした。楽しい事が好きな性格だと思います。これからも楽しく毎日を過ごしてもらいたいと思います。

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H23.01.08今日も大きな声で元気良く活気が有りました。体操も1・2・3・・と大きな声を出してくれて嬉しかったです。腰の痛みは少し有るようですが、気にしないように言うと「分かりました・・頑張ります!」と何だか反対に勇気づけられているようでした。これからも元気でいてもらいたいです。

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H23.02.09日中大きな声で「先生・歌を唄いたい!」と言われました。その前に体操しようと声掛けすると元気良く「は〜い!」と大声で・・・。体操も一生懸命してくれました。皆にも歌を唄うから・と気合を入れてくれたりして多いに元気印で助かります。これからも元気印でいてもらいたいです。

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H23.03.19午後から娘さんが面会に来られました。とても嬉しそうにお喋りされてました。「私の一人娘です!」と他の入居者さんに何回も言ってニタニタと笑われていて、お母さんにも成っていました。こんな嬉しそうな顔を見たのは久しぶりでした。

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H23.03.26いつも体操や歌の時には、大きな声で皆を引っ張ってくれます。最近は腰の痛みの訴えも殆ど無いような状態です。清拭タオルを巻いたりするお手伝いも進んでしてくれています。歌が好きで明るいIさんは、今フロアでは太陽のように輝いてます。

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H23.04.21今日も一日元気に過ごしています。体操はもちろん、大きな声で笑う事も人より先にしてくれます。元気なIさんを見るのが私は大好きです。声掛けには必ず元気に返してくれますし・・・スタッフの体調も気に掛けてくれます。いつまでも元気で過ごしてもらいたいと思います。

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H23.05.25野菜や魚を残す事が多く成っているように思います。工夫をして食べて貰えるようにしたいと思いますが・・・。一度外食してお好み焼きでも食べに行こうかと考えています。Iさんに伝えると「良いなぁ〜行きたいわ」と言われてたので計画を考えてみます。

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H23.06.22今日も元気で大きな声で話されていました。時折、向かいで座っている入居者さんと言い争い的な事が有りますが、そんな時には席を離します。相手の言ってる事が理不尽なだけにカッカとくるんだと思います。身体に悪いから相手にしないように声掛けしますが・・・。明るいIさんが一番です。

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H23.06.26今日はゴルフボ−ルで顔のマッサ‐ジ等しました。とても大喜びで楽しんでくれていました。野菜ジュ‐スも少し甘くしてみたら美味しいと言って飲んでくれました。工夫して野菜も食べて貰えるようにしたいです。

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H23.10.01恒例のラジオ体操・・今日も元気良く「イチ〜ニイ〜サン〜」と大きな声で言いながら手を動かし、一段と元気で安心しました。最近、トイレ介助時にはしっかり立ってくれて「これで良いかな〜」と言ったり「先生も腰が痛いんでっしゃろ・・気をつけなあかんよ〜」と心配してくれます。いつまでも大声のIさんで居て欲しいと思います。

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H23.10.11 今月26日が84歳のお誕生日なので、本日69歳お誕生日の入居者さんとスタッフ2人の計4人でお寿司屋さんへ出掛けました。春日出商店街を散策しながら「わぁ〜こんな賑やかなとこは初めてや〜・うちの田舎と全然違う・・・何処に行くんでっか?」等と大笑いしっぱなしでした。お寿司屋さんに着くと「こんな大きな寿司屋は見た事がない・・!」と何回・・いいえ、何十回と言われていました。「高いんでっしゃろ・こんなとこに来ても良いんでっか?・・」とも言われ上にぎり8貫だけ食べて「もうお腹一杯や〜」と落ち着かない様子でした。帰りは何処に行ったのか、何を食べたのか、すっかり忘れているようでした。でも機会が有れば又連れて行ってあげたいと思いました。

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H23.11.21 夕方、スタッフ(T)がハ−モニカを吹いていると一緒に歌を歌い出しました。ハ−モニカは未だ上手く無く、その都度歌もストップしてしまい皆で大笑いしました。「先生・・次は練習して上手いこと吹いてや・・・」と言われてしまいました。でも、楽しかったと言ってもらえたので良かったと思いました。

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H23.12.01朝から体調が良いと言われ起床時には「いつもすんませんなぁ〜・・今日もユックリ寝してもらって・・」とニコニコしていました。午後からのMさんのお誕生会ではプレゼントを渡す役をし「お互い元気に頑張りましょう〜」とお祝いの言葉を言って拍手喝采でした。夕方にはスタッフの吹くハ−モニカに合わせて数名と合唱して楽しんでくれました。笑顔が一番!

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H24.01.12起床時に「おはようございます・・朝ですよ・・起きましょ〜」と声掛けすると「何で起きなアカンの!」と怖い声で言われました。「起きてご飯を食べに行きましょ・・」と言ったら「行こうが行くまいが、私の勝手と違うんでっか!!」と強い口調でした。参りました・・・・それからトイレに行って目が覚めたのか「先生でっか・起してくれたのは・・・知らん人やと思ったから、偉そうに言うてすんまへんなぁ・・・」とニコニコ顔で謝られました。ガラガラの声で不信に思ったみたいでした。安心しました。

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H24.01.16スタッフに「ハーモニカを吹いて欲しい・・歌を歌いたいから・・・」と言われました。横に男性の入居者が来たので「男やったら、大きな声で歌わなあきまへんで〜男やろ・・・」と大きな声を出すように促され、皆を先導して歌ってくれました。頼もしい限りです。楽しそうにニコニコしていい顔をしていました。

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H24.02.06ハ−モニカに合わせて歌を歌う事が楽しいようです。数曲ハ−モニカに合わせて歌っても「もっと吹いて欲しい」と言われて、スタッフは息切れしながら一生懸命ハ−モニカを吹いていました。「先生・・ありがとう〜・また明日も吹いてな・・」と言われました。楽しかったとニコニコ顔でした。

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H24.4.7最近入浴をお誘いすると「入らない。」と拒否される事が多いです。本日もお話しながら脱衣所まで誘導しましたが「入らない!実家に帰って入ります。」と言われました。ですが娘さんの話を出すと嬉しそうにして服を脱ぎ、拒否もなくなりました。娘さんの作ってくれる御菓子が美味しいと言うと「あの子はあんなん上手ですねん。」と言われました。その後そのまま入浴すると「あー、ええお湯でしたわ。」と喜んでいました。

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H24.6.5最近、起床時には「お腹が空いて無いですわ・・ユックリ寝かしてもらったから・・」と言って食事が進まず、飲み物も少しで「お腹一杯ですわ」と言う事が多く成りました。体重的に今は問題ないですが、これから先が心配です。少しでも食べてもらえる様に声掛けを沢山していきたいと思います。

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H24.6.14最近「しんどい・・もっと寝ときたい」と言われたり怒る事が多く成ってきました。特に熱も無い状態ですが・・・。娘さんとも話しましたが「様子見といて下さい」との事でした。今日も12時に起こしに行くと「ア−先生でっか・・・来てくれはったんでっか・・・スンマヘンなぁ〜」と笑顔で言ってくれましたが、身体がだるいようでした。少し様子を見て再度娘さんに連絡したいと思います。

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H24.7.3 14:00〜15:00までリハレクで盆踊りの練習が有ったので参加し、ニコニコしてとても良い顔で踊っていました。最近、朝はしんどいと言って殆ど欠食しています。昼食はご飯は食べますが、副食には余り手を付けず「お腹が空いてまへんねん」と言うばかりです。顔も少し小さく成ったように思います。もっと笑顔の有る、楽しい生活をしてもらいたいです。

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H24.7.14昼食前に起こしに行くと「何で目が覚めてるのに、早よう来てくれへんかったん・・」と言って怒っていました。今日は11時から仕事やから来れなかった事を言うと「そうでっか・・」と少し納得してくれました。起床しても殆ど食べずで体調が心配です。少しでも食べて、飲んでもらえるように工夫したいです。

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H24.7.19『毎年6・7月頃には「シンドイ・・・」と言って怒りっぽく成る』と娘さんが言われていました。梅雨の時期が過ぎると又、何時ものように朝も起きて来て大笑いするように成るとの事でした。歌が好きなので、楽しく毎日を過ごしてもらえるようにしたいです。

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H24.7.26午後から少しお話をしました。昔の事・父母の事・兄妹の事など楽しそうに話し母は未だ元気にしてると笑顔で話してくれました。14:00から他の入居者さんと一緒に歌を歌いました。シンドさも忘れているようでした。大きな声が似合いました。

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H24.8.5夕方5:30から夕涼み会が有り、娘さんご夫婦と娘さんのご主人のお母さんが参加してくれました。夕食もあまり食べなかったと娘さんは言っていましたが・・・。4Fでのスイカ割りや花火では楽しそうにしていました。娘さんは帰り際に「食べたいだけで良いので・・」との事でした。体調の変化が有る時には又話などをしたいとお伝えしました。

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H24.8.25夕方から長女さんも参加して下さり、伝法コミニティ広場での盆踊りに参加しました。たこ焼きも少し食べ、踊りに見入っていました。大きな声で笑い手拍子して多いに楽しんでいました。「先生・・楽しいでんなぁ〜・・こんなん好き!」と笑顔が溢れていました。

いかがだったでしょうか? 2年間分の介護記録の中から、Tの記録を抜き出し、その中から印象的なものを並べてみました。なかなか朝起きないIさんですが、Tが朝迎えに行くと起きることが多いなぁ、とは思っていました。不思議に思っていたのですが、記録を2年分読んでみて、それが納得できました。

それは、「(起きてみようかな、という)思いを動かすのは、誘い方(テクニック)ではなく、誘う人による」ということ。


私は本を読むのが好きで、最近は司馬遼太郎の歴史小説を熱心に読んでいるのですが、『竜馬がゆく』の中にこんな記述があります。

『筆者は、このくだりのことを、大げさでなく数年考えつづけてきた。

じつのところ、竜馬という若者を書こうと思い立ったのは、このくだりに関係があるといっていい。(中略)

竜馬は西郷に、

「長州が可哀そうではないか」

と叫ぶようにいった。当夜の竜馬の発言は、ほとんどこのひとことしかない。

あとは、西郷を射すように見つめたまま、沈黙したからである。

奇妙といっていい。

これで薩長連合は成立した。

歴史は回転し、時勢はこの夜を境に倒幕段階に入った。一介の土佐浪人から出たこのひとことの不思議を書こうとして、筆者は、三千枚近くの枚数をついやしてきたように思われる。事の成るならぬは、それを言う人間による、ということを、この若者によって筆者は考えようとした。』

一般的な歴史小説(普通の小説でもそうですが)において、「筆者は…」といって解説を加えるように書き手が登場してくることはまずありません。でも、司馬遼太郎はちょいちょい出てくる。作品世界にどっぷり浸かっているのに、そこから一歩引いた現実世界に突然引き戻されるようで、良し悪しはあるのかもしれません。小説の一般的な常識から言えば、ちょっとおかしい。

でも、その手法を用いることで、読み手は「その時代」と「現在(もしくは司馬遼太郎が生きた時代)」を行ったり来たりすることを余儀なくされ、歴史を昔のこととして現在と切り離して考えることができなくなります。そして、歴史上の出来事を現在の問題として否応なく認識させられることになります。

坂本竜馬が生きた時代、幕末。

欧米列強がアジア各国を植民地化していく中、徳川江戸幕府は弱体化の一途を辿っていました。ペリー来航により、200年以上続いた鎖国体制も崩れ、「このままでは日本はだめになる」そう考え、幕府を倒し、新しい政府を作ろうとする倒幕派と、それでも幕府を守ろうとする佐幕派に分かれ、日本中が荒れに荒れていた時代。

坂本竜馬は、「藩」が物事を決める上で絶対的なウェイトを占めていたその時代に、「日本」という国全体のことを考え、絶対不可能と言われた、西日本最大にして最も仲の悪かった2つの藩、薩摩藩(鹿児島県)と長州藩(山口県)を結びつけることに成功し、倒幕と明治維新成立に多大なる貢献を果たした、と評される人物です。(ただ、「竜馬も司馬遼太郎が小説に書くまで歴史に埋もれていた」とも言われています。)

「長州が可哀そうではないか」

その一言によって、なぜ薩摩藩の西郷隆盛は心を動かされたのか?

それを解き明かすために私はこの小説を書いた。そう司馬遼太郎は言います。そして、独自の歴史認識と、トラック1台分にもなると言われる資料に当たりながら、司馬遼太郎はその謎をみごとに解き明かして見せたのでした。


翻って、介護記録。

Iさんが心を閉ざし、居室に引きこもりがちになったのはなぜなのか?そして、心を少しずつ開き、自然な笑顔がまた見られるようになってきたのはなぜなのか?

それを解く鍵が介護記録にあったように私には思えました。

「毎年6月、7月の梅雨の時期には体調を崩し、怒りっぽくなることがある」「梅雨の時期を過ぎればまた大笑いするようになる」

Tが娘さんから聞き取りをした情報通りに8月以降元気を取り戻しつつあるIさん。心身のバランスを崩しやすい梅雨の時期に食事席の変更という環境の変化があり、例年より大変な状況になってしまいましたが、では、梅雨を過ぎたから、ただそれだけが原因でIさんの体調は元に戻ったのか?そうではないと思うのです。

どんな状況においても、笑顔が絶えず元気いっぱいでいてほしいと願う人が近くにいて、好きな歌を一緒に歌ってくれたり、楽器を演奏してもらえたり、河川敷を散歩したり、話を聞いてもらえたりする。それによって、徐々にではあるけれども、しんどい状況が和らいでいき、何かをしてみようという気持ちがまた沸いてくる。

そういったことがTの介護記録を読んでいると、自然と頭の中に浮かんでくるのでした。

記録の常識から言えば、Tの記録のあり方は問題があるかもしれません。Iさんが言ったことや喜んだこと、気分を害したことをそのままストレートに書くのはいいとして、それに対して「がっかりした」や「参った」など介助者側の否定的な感情をそのまま書いてしまっていたり、「そんなIさんが私は大好きです」「いつまでも元気でいてもらいたいです」など個人の思いを記録に書いてしまうというのは場合によっては指導の対象になるかもしれません。

ですが、私は逆に「これはいいな」と思いました。その時々の記録としては問題があるように見えるかもしれないけれど、客観的な事実とその人を取り巻く個人の感情がないまぜになって初めてその人の生活は成り立っているのだというのを、介護記録という形で体現することができている。「これはすばらしいことだ」と思ったんです。

私の意見に反対の人もいると思います。それはそれで全然かまいません。

私は今こう考えています。

日々の何気ない関わり、特別な取り組み、うまくいくこともいかないこともあります。うまくいけば記録も書きやすいですが、うまくいかなかったことは自分を否定されたようで書きづらいというのはあると思います。でも、全部ありのままに一旦書いてみる。とても勇気のいることだと思います。でも、長期的な目で見れば、全部ひっくるめてそういうことがあったから今がある、というのが読み手にストレートに伝わってくるのではないかと思うのです。

「笑顔が見たい。」「元気でいてほしい。」「安らかな最期を迎えてほしい。」

その人を思う気持ちが先にありさえすれば、記録はもっと自由でいい。そう思います。

一つひとつの記録にはそれほど大きな価値はないのかもしれません。ですが、それらが連なった時に、小さな歴史が生まれてきます。いいことも悪いこともある。でも両方あって当たり前。

大小さまざまなエピソードが折り重なって、その笑顔、その一言につながっていく。誰が書いても同じ内容になるような、客観的事実だけの積み重ねだけでは決して見えてこない世界があります。埋もれていた感情を、個人の主観(思い)を通して、「書く」ことで掘り起こす。その人が生きた証をそうやって記録として残す。介護記録の最も重要な意義はそこにあるのではないかと思っています。

「あなたが誘ってくれるから」「あなたがいてくれたから」私は私らしくいることができる。そんな人が周りに一人でも多くいてくれたなら、その人の生活は多少の困難はあろうとも成り立っていくのだと思います。


様々な入居者と家族、そしてスタッフから日々学びを得ることができています。ありがたいことです。この文章も一つの記録として、いつか読み返す日が来るでしょう。「いいこと書いてるな」なのか「何を書いてるんだか」なのか、読後の感想を今想像することはできませんが、今の思いをストレートに表現することができたとは思っています。

Tは63歳にして夜勤もこなすスーパーウーマン。今日も「まいど!おいど!」と私たちにお尻を突き出しながら元気に挨拶を交わしています。

いい介護をする、そして入居者の生活を少しでもいいものにする。そのためにいい記録を残す。目的を間違えないように注意しながら、ラヴィータの記録の質が向上する取り組みを続けていきたいと思っています。





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